【やってみた】LOI測定に磁性るつぼは空焼きすべきか?

LOIをググると、「基本合意書の英語表現であるLetter of Intentの略称」とか出てきてしまいますが、分析化学や地球科学としては、Loss of Ignitionです。
日本語に訳すると、「燃焼損失」とか「点火損失」です。
先日紹介したガラスビード作りのアルカリ融解では、1000℃以上に加熱する必要があります。
すると、岩石試料粉末には、アルカリとともに融解する以外に、以下2つの現象が起きます。
1) 含まれている鉄が酸化しほぼすべて3価になる 
2) 含まれている炭酸塩鉱物や含水鉱物が分解し、二酸化炭素や水を放出する
1)によって質量が増えます。逆に2)によって質量が減ります。
これらがアルカリ融解に際して起こってしまうと、一体どれくらい増減したのかがわからなくなる。
そこで、岩石粉末をアルカリ融解する前に、マッフル炉を用いて1日かけて950℃くらいまで加熱して質量の変化を調べておきます。
これがLOI測定です。
LOI測定を行うために、950℃に耐えられる容器として使うのが、磁性るつぼです。
問題は、この磁性るつぼ自体が湿気って乾燥時よりも重くなってしまっているかもしれない点にあります。
使う前に塩酸や硝酸、純水に漬け込んで洗ってます。さらに空気中の湿気を吸ったりしてるかもしれません。
心配なので、予め950℃で磁性るつぼだけを空焼きしておく人もいますが、そうすると1日余計に作業時間が伸びてしまい、できればやりたくない。
というわけで、調べてみました!
条件: 2018年1月某日
使うるつぼ: 先月洗浄してそのまま室温放置されてた磁性るつぼ(大と小)とそのフタたち
作業1) 磁性るつぼ(大)3つと(小)3つを、マッフル炉で950℃9h加熱(200℃1hの予熱を経由)
作業2) 同条件で洗浄された他の磁性るつぼ(大)3つと(小)3つを、ガラス製のデシケーターに普通に突っ込んでみる
で、結果。
まず、作業1でマッフル炉による加熱をしたるつぼたち。1~3は小型、4~6は大型
  るつぼ1: 9.14620 g => 9.14570 g
  るつぼ2: 8.96656 g => 8.96614 g
  るつぼ3: 9.18575 g => 9.18534 g
  るつぼ4: 16.02355 g => 16.02319 g
  るつぼ5: 16.52842 g => 16.52806 g
  るつぼ6: 16.79345 g => 16.79188 g
次にデシケータに突っ込まれたるつぼたち。
  るつぼ1: 9.17465 g => 9.17413 g
  るつぼ2: 9.25721 g => 9.26666 g
  るつぼ3: 9.05071 g => 9.04951 g
  るつぼ4: 16.45571 g => 16.45548 g
  るつぼ5: 17.20964 g => 17.20910 g
  るつぼ6: 15.90603 g => 15.90566 g
たしかに、マッフル炉加熱でもデシケータでも少し質量が減っています。磁性るつぼが湿気を含んでいるのはきっと事実でしょう。
しかしいずれにしても、変化は1mgに届かないぐらいでした。
どちらのほうが大きく変化したかもよくわからない程度にしか変わりません。
この程度の差なら、その他の秤量や測定の誤差に埋もれてしまうので無視できる程度です。
空気の乾燥している関東の冬だったのが幸いしてるのかもしれませんが、磁性るつぼをデシケータ内で保管しておけば、まぁ十分そうですね。

コメント