白金るつぼが銅鉱石に殺られた

XRF用のビードサンプラーの白金るつぼが銅鉱石に殺られた……つらい……
多分だけど、硫化鉱物がたくさん入っているサンプルのホウ酸リチウムビードを作る時は気をつけたほうが良いです!



東工大の学部生がビードを作るために駒場へ来ました。
東工大からありったけのスタンダード岩石試料を持ってきてたので、好きなだけ作っていいよとお任せしておいたのですが、 その中にJCu-1という僕も知らなかった産総研のスタンダードが入ってました。
JCu-1をビードにしようとしたら、白金るつぼと試料が反応したせいなのか(?)、それまでは銀色ピカピカだった白金るつぼの表面が白くカビたようになってしまいました。
そもそも出来上がったビードが白金るつぼから取れなくて大変難儀しました。
加熱時に剥離剤にヨウ化リチウムを入れているため、普通の珪酸塩鉱物からなる岩石ならひっくり返せば簡単にビードが剥がれるのですが、JCu-1には全く効かず。ヨウ化リチウムの添加量を10倍くらいに増やしても全く効かず。
最終的に、JCu-1のビードは捨てることにしてホウ酸リチウムと珪砂を追加で入れて、銅成分を薄めることで(?)、なんとか分離しました。
調べてみると、JCu-1は岩手県釜石鉱山のスカルン鉱床から産した銅鉱石で、主に輝石、磁硫鉄鉱、黄銅鉱磁鉄鉱などからなる、とされています。
そんなに銅はたくさん入っていないので、硫黄分のせいなんかな…??

岡井ほか(2002). 地球化学標準物質JCu-1 (銅鉱石) 及びJZn-1 (亜鉛鉱石) の共同分析結果. 分析化学, 51, 973-977.
https://www.jstage.jst.go.jp/article/bunsekikagaku/51/10/51_10_973/_article/-char/ja/

産総研のウェブページ『地球化学標準物質データベース』
https://gbank.gsj.jp/geostandards/
こんなことになるとは知らなかった。
本当に、研究で色々やってると色々なことが起きますね…

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