どちらも見た目のよく似た産状を示す鉱物ですが、灰簾石は直方晶系(斜方晶系)、斜灰簾石は単斜晶系です。
緑簾石と同じ結晶構造を持つものは斜灰簾石だけで、厳密には斜灰簾石は緑簾石グループだけど、灰簾石は緑簾石グループではない、とされています。
歴史的経緯でこうなってしまったわけですが、灰簾石が可愛そうなので(?)、いちおう緑簾石スーパーグループというのがあってその中に入れるということにはなっているそうです(Armbruster et al., 2006).
逆に、灰簾石はピュア組成に近く、鉄がほとんど入ってない条件下で産出します。
純粋なCa2Al3[Si2O7][SiO4]O(OH)組成の斜灰簾石が存在するのかしないのか、まだわかっていないため、結論は付けられていません。
また、高温ほど灰簾石の安定領域が広がる傾向があります。
従って、野外で見られるものは大半が斜灰簾石です。
灰簾石として有名なものは、タンザナイトが挙げられます。その他にも、宝石質なものほどピュア組成に近いので灰簾石として産出しやすくなるっぽいですね。
鉄が少なく高温の環境として、ある種のスカルン鉱床や高温高圧変成岩などが灰簾石の産出をもたらします。
- Enami, M., & Banno, S. (1980). Zoisite-clinozoisite relations in low-to medium-grade high-pressure metamorphic rocks and their implications. Mineralogical Magazine, 43(332), 1005-1013.
- Franz, G., & Selverstone, J. (1992). An empirical phase diagram for the clinozoisite-zoisite transformation in the system Ca2Al3Si3O12 (OH)-Ca2Al2Fe3+ Si3O12 (OH). American Mineralogist, 77(5-6), 631-642.
- Brunsmann, A., Franz, G., & Heinrich, W. (2002). Experimental investigation of zoisite–clinozoisite phase equilibria in the system CaO–Fe 2 O 3–Al 2 O 3–SiO 2–H 2 O. Contributions to Mineralogy and Petrology, 143(1), 115-130.
フォロワーの強いコレクターの方から、三波川変成帯から産出する灰簾石の情報が寄せられました。
面白い考察ですね( ´ ▽ ` )ノ
— roquesite@Three thousand years (@roquesite) November 20, 2019
フィールドでは、たしかに少しでも色づいたものはクライノと区別しています。ゾイサイトは本当に真っ白(^ω^)
写真はzoisite+diopside@関川 pic.twitter.com/rzM5uckjum
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