【気になる石】ポッピ石と"ヴァナジウムリッチなパンペリー石"


ポッピ石(Poppiite、あるいはポピー石)はパンペリー石グループの1種で、ヴァナジウムに富んだ端成分の鉱物です。
パンペリー石グループの鉱物は一般にCa2XZ2[Si2O6(OH)][SiO4](OH)2Aと表されますが、ポッピ石はX, Zの両方のサイトがヴァナジウムからなる鉱物です。
主に変成マンガン鉱床から産出する鉱物です。


先日、埼玉県立自然の博物館のツイッターアカウントが、以下のようにポッピ石の紹介をしておりました。


これは以下の日本鉱物科学会で報告されたものに基づいたツイートと思われます。

山田隆, 門馬綱一, 宮脇律郎, 松原聰, 石橋隆, 藤原卓, & 滝沢実. (2014). 埼玉県小松鉱山産含バナジウムパンペリー石族鉱物. In 日本鉱物科学会年会講演要旨集 日本鉱物科学会 2014 年年会 (p. 53). 一般社団法人日本鉱物科学会.

しかし、実は…

埼玉県小松鉱山よりも1年遅れて、鹿児島県奄美大島にある変成マンガン鉱山、大和鉱山にてポッピ石がみつかっています。

丹羽健文, & 石橋隆. (2015). 鹿児島県大和鉱山産のポピー石 (poppiite). In 日本鉱物科学会年会講演要旨集 日本鉱物科学会 2015 年年会 (p. 58). 一般社団法人日本鉱物科学会.

和名がポピー石と当てられていて、なんかかわいいですね。検索に引っかかりにくくてちょっと困りそう。

大和鉱山めあてに何年も奄美大島に通っていた鉱物オタクたちが現物の写真をツイートしてくれました。



海外のポッピ石の写真も。




一方で、気になるこんなツイートも。"Vリッチのパンペリー石は、80年代末に四国で出てたんだけど論文化されず幻に終わってた"らしいという、噂話。
マイナーな鉱物の新種の記載は、地球科学研究者の業績としてはあまり重視されない割に、しっかりとしたデータを出してIMAの審査をクリアしないといけないのでしんどいものです。「どうやら新種かも」となっても小さな粒子しか得られていない鉱物では途中で頓挫してしまったものもしばしばあります。


すでにポッピ石として「ヴァナジウムリッチパンペリー石」という種は存在するわけですが、パンペリー石グループの鉱物は一般にCa2XZ2[Si2O6(OH)][SiO4](OH)2Aと表されということを思い返してみると、XもZもヴァナジウムなのがポッピ石です。

もし、XかZのどちらかしかヴァナジウムではないパンペリー石が見つかったら…?!?!

新種のヴァナジウムリッチパンペリー石として記載できるかもしれませんね!

鉱物名は、ヴァナジウム以外の成分を取って、「鉄ポッピ石」「マンガンポッピ石」とか、そんな感じになるのでしょうか?

コメント