地質学雑誌その他日本地質学会発行物のオンライン化に向けて


地質学雑誌、News誌、ともにhtmlまたはPDFによるインターネット上での公開を原則とし、紙媒体の郵送は希望者のみに対して追加料金を徴収した上で行ってほしいです。正直に申し上げて、紙媒体の郵送は迷惑です。文献管理はパソコンのソフトウェアを用いて行っておりPDFの方が圧倒的に便利です。また、紙媒体は保管場所を消耗し、引っ越しの際にはとても厄介になります。更に、金銭的に貧しい学部生・大学院生・ポスドクとしては、年会費を可能な限り低くしてほしいです。


1.地質学雑誌

日本語の学術誌として、どのような形で必要とされているのかを今一度考え直す必要があります。隣接分野と学会の掛け持ちをしている会員も多く、それら学会も各々の日本語雑誌を保有している中で、地質学雑誌を選ぶメリットは何かということを自問する必要があります。 以下、ご参考までに個人的な地質学雑誌の方向性に対する考えを述べます。当たり前のことですが、本業の研究者はインパクトの大きい重要な成果の報告には英語の国際誌を選びます。そこで逆に、地質学雑誌は、著者として本業の研究者以外に間口を広げ、題材としてインパクトは大きくなくとも何らかの新規性のある地質学的報告をメインのターゲットにします。地質学ではしばしばある、「スパッと綺麗に解釈できない露頭」のようなものであっても、記録し蓄積していく場として使えるのではないでしょうか。著者のターゲットとして、例えば、高校教員および高校生、非研究職の地質学愛好者などが挙げられます。もちろん、査読は手抜かりせずプロの研究者が行い、学術誌としてのレベルを低下させることは無いようにします。ただし、現状では地質学雑誌は査読に非常に時間がかかるという"悪い噂"も広まっておりますので、改善の必要はあるでしょう。また、大学の学部・修士で卒業するという多数派の学生は、学内の卒論だけ書いて卒業してしまい、そのデータが本人の執筆努力の元に学外へ出ること無しに終わっています。英語で国際誌に投稿する程の余裕が無い彼らの論文発表の機会として地質学雑誌が活躍できるかもしれません。さらに、電子化の推進によって、露頭写真や岩石サンプル写真などを豊富にカラーで高画質に添付することを推奨すれば、他の日本語雑誌との差別化にも貢献できるでしょう。国内で地質学をする人口が減る中で、学会および学術誌の内容を保持しつつ、新しい時代を作るための柔軟な発想が必要であると考えます。


2.News誌

わざわざ月刊の雑誌の体裁を取る必要は無いと思います。告知事項や事務連絡は細やかにメーリングリストの積極的な活用を行い、その他の報告文章などの"読み物"は個別にウェブページを設けて記事を公開することで、後年にも記録が残りやすく、検索流入などによって閲覧数も増え、また非会員への活動紹介としても活用できましょう。


3. ジオルジュ

内容の完成度の高い非常に優れたメディアだと思います。しかし、非会員の認知度は(地球惑星科学分野であっても!)大変低く、ネット上の販売もあるとは言え紙媒体で限られた読者しか接することができないのは大変もったいないことです。ジオルジュの月刊誌という体裁を止めて、各記事をインターネット上でhtml形式でフリーに公開した方が良いかと思います。地質学の一般普及に貢献すると共に、アドセンス広告の収入などを得ることも可能であると考えられます。会員には無料・その他に1冊250円という値段設定で、あれほど高品質な雑誌の商売が成り立っているのか以前から疑問でしたが、いかがでしょうか?基本的にウェブ上にフリーで公開し、その蓄積の中から、人気の高かった記事群やあるテーマに沿った特定の記事群などを、改定・増補を加えた上でまとめて書籍化して販売する等の展開も可能かもしれません。ジオルジュが単なるマイナーな会員向け雑誌ではなく、地質科学分野を代表する日本語ウェブメディアとして強い発信力を持った存在に成長してくれたら嬉しく思います。



とまぁカッコつけたことをたくさん書きましたが、単純に家もデスクも狭くて紙媒体なんて置いておける場所がないんですよ。。




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