鉱物標本ラベルにはGPS座標を記載しよう


標本ラベルは、標本の来歴情報を保存するための自然科学的に重要な存在である。なかでも標本の「産地」は最も重要な情報である。

ところが現在、一般のアマチュアコレクションや標本市場に出回る鉱物(化石や岩石なども含めて)の標本ラベルに記載されている「産地」の名称だけを頼りに、その標本の採集された場所へ行くことができるケースは非常にまれである。

ラベルに記載されている産地名に加えて、産地情報などの経験的知識が相当必要となる。

素性を知らない者へ標本を販売する際に産地保護の観点から具体的な採集場所を秘匿する場合もあるが、個人コレクションの中などそのような心配の無い環境においては、本来の標本ラベルの役割を考慮して、可能な限り確実に採集場所を再現できる情報を記載する方が良い。

そのような理想的な産地情報の記載方法としてGPS座標が挙げられる。

スマートフォンやタブレット端末の普及により、GPS座標を手軽に入手可能になった。

以前は最低でも数万円はするGPS専用機器が必要であった。


しかし、今や老若男女誰しもが手軽に誤差数mのGPS座標を入手できる。スマートフォンやタブレットのGPSは、電話回線やデータ通信の電波が届かない場所であっても地球上どこでも(地下や深い谷間を除いて)使用可能である。

GPS座標を数値で入手するためには、Google mapでポイントを打つのも良いし、専用のアプリを使うのも良い。 特にジオグラフィカは地図アプリ、GPSログアプリとしても非常に使いやすくオススメである。iOSでもアンドロイドでも使える。

https://apps.apple.com/jp/app/%E3%82%B8%E3%82%AA%E3%82%B0%E3%83%A9%E3%83%95%E3%82%A3%E3%82%AB-%E7%99%BB%E5%B1%B1%E7%94%A8gps/id887734855

https://play.google.com/store/apps/details?id=jp.keiziweb.geographica&hl=ja&gl=US

地学系の学術論文を国際誌に投稿する場合、以前は分析したサンプルの産地を地図上にプロットすれば許されていたが、今日ではGPS座標の記載を求められることが多い。アマチュア個人の鉱物コレクションで学術論文のことなど考える必要は無い、などと割り切ってしまうのはあまりにもったいない。

将来、あなたのコレクションの中から新鉱物や興味深い地質現象が発見され、それが論文化される可能性もあるのだから!

GPS座標は地球上どこでも利用できる客観的数値でラベルにも簡単に記載できる一方で、産地情報の再現性という意味では必ずしも万能ではない。

大抵の場合、GPS座標には1~5mほどの誤差が生じてしまう。産地の本当の意味での再現性を保持するには、現地でのスケッチなどの古典的手法も必要になる。

その際、写真撮影は有用だが、どこで何を撮った写真なのかを記録しておかないと、後から見返して何を撮ったものだったのかすっかり思い出せないことが普通であるので注意したい。

採集に忙しいと手がまわらないことが多いが、簡易的にであっても露頭やズリのスケッチを残しておくことが標本の価値を大いに高めうるだろう。

産地情報に次ぐラベルに記載すべき重要な情報としては、採集年月日と同行者が挙げられる。採集年月日は移ろいゆく産地の様子の記録となる。同行者の記載は、標本ラベルの記載者が何らかの情報を忘却あるいは紛失した際に補完しうる存在である点が重要である。

「鉱物標本には必ずラベルを付ける」ということは、アマチュアコレクターがコレクションを始めて最初に学ぶが、ラベルのスタイルは必ずしも1つの正解があるわけではない。再現性は自然科学の重要な基盤ではあるものの、野外における鉱物との出会いは一期一会の確率的事象である側面が強い。

これは地球科学の根本的な問題の1つではあるが、趣味として楽しむ分にはそう肩肘を張らなくても、自分のコレクションの価値を高めるための工夫の余地を各自で追求するのも楽しいだろう。





あんまり難しく考えず、こんな超最低限のラベルでも良いのだ!








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